最近読んで面白かった本。
ええっと、クリント・イーストウッドもオードリー・ヘップバーンもでてきませんが。(うっ、我ながらふ、古い、、、、) この2冊、横に並べると宇野亜喜良さんの美しい装画がより楽しめますだ。 明治後半の架空のまち「森宮」を舞台に、史実と虚構が見事に織り成す物語。 米国で医学を修め、インドで脚気の研究に取り組んだドクトル槇(槇隆光)、通称「毒取ル」。 若くして、莫大な財産を相続した美しい姪。 ユーラシア大陸を縦断して日本へもどってくる巨大仏教教団の後継者。 森宮へ静養にやってくる陸軍少佐と美しい妻。 アンナという女性が落とした柄付き眼鏡。ハーフィズ詩集。 ここに実在の人物たちが絡んできますだ。森鴎外、田山花袋、ジャック・ロンドン。。。 ね、これで、平凡な話が展開するわけがねえでしょう?! 毎日新聞に掲載されていたのを読んでいたのですだが、職場で新聞の購読がストップしちまって、実家で まとめ読みするにも、もう話についていけなくなってしまっていたのが、このたびようやく本として出版された次第。 ところで、この物語が始まるのは日露戦争開戦の直前の明治36年(1903年)。 何年、といおうと「明治」といわれるとおらには教科書で学ぶ遠ーーーい昔のことなのですだが、読み始めてすぐに 度肝を抜かれちまった。 槇の甥、「若林勉」という青年が登場するのですが、彼が愛用しているのが「トーマス」と名づけたオートバイ。 オートバイ?! ウィキで調べるとオートバイの誕生は19世紀後半。1906年に国産のオートバイが登場しているので、新し物好きな 人が個人で外国から取り寄せていてもおかしくはねえ(しかし、燃料はどうしていたのだろうか。。。)のですが、先ほどもいったように、おらのなかでは「明治」という時代は「果てしなく昔」の印象がありますだ。 明治の前は「江戸時代」。江戸時代といえば「生麦事件」(なんでだよっ!)。幕末の日本を語る上では外して通れねえ事件ではねえですか。 この生麦事件は「許されざる者」のわずか40年ほど前の事件なんですだよっ! そいで、移動手段が一方は「馬」、もういっぽうは「籠」と「徒歩」! いちいち言う必要はねえが、「籠」は人力ですだよっ! その40年後に日本人はオートバイに乗っているって、すごくねえですかっ?! まあ、40年という時の流れは、首のすわらねえ赤ん坊がメタボを気にするおっつあんやおばちゃんに変化するほどの 時間ですからねえ。 出だしのオートバイで驚いてしまったおらですが、この1903年という年はアメリカのノースカロライナ州で、ライト兄弟が36mばかし飛んだ年でもあります。 この出来事はたいして人々の注目を浴びねかったらしいのですが、この後、飛行機は改良に改良を重ね、ほぼ10年後には戦争兵器として活躍することになるのですだ。 そっちのほうがすごいけど、オートバイに受けた衝撃が大きかった。 躍動感にあふれ、進取の気性にあふれる物語にひきつけられますだ。 話の終わりのほうで、ドクトル槇は新聞を読んでいて、スイスに住むユダヤ系青年が発見した事象に注目します。 すっかり訳のわからないネジ巻き屋(時計屋さん)によって、この事象がラブレターのようにして彼の恋人に伝えられる場面が好きですだ。 ↓こちらをお読みになると分かりやすいですだf^_^; 許されざる者 書評
by rangerstrider
| 2009-09-23 21:33
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